自己の定位 冨田昌夫先生
先日、2月21〜22日にかけて、誠愛リハビリテーション病院にて冨田先生の講義を受けてきました。去年は環境適応でしたが、今年は「自己の定位」です。今回は資料も厳選しており、実技が多めにありました。また、実技の内容も細かく伝えていただき、大変わかりやすい講習会でした。
知覚と運動の循環の重要性を常に説いており、運動することで知覚する、知覚することで運動できるということを頻回におっしゃっていました。皮膚が脳と同じようなはたらきをしているのではないか?学校で習う視覚とは違う経路の周辺視の重要性等も、最新の知見を交えての講義でした。前回と比較し、忙しい中でも進化している先生に驚きました。内容は著書に譲ります。

最も驚いたのが、受講者を被験者としプレーシングの説明を行おうとする最初の実技でした。ファーストタッチで、予備動作もなくいきなり右手で足底、母指を支持し、左手で大腿側面から後面を支持しながら下肢を持ち上げ、すっと離した瞬間、験者の右下肢が宙に浮いてました。その間約1秒程度です。私なら、アライメントを評価してニュートラルポジションを見つけ、ここかな、このあたりかなあと探っていく過程がありますし、ましてや下肢は重く一番難しく保持しにくい部位でもあります。先生は相手の肢位をみるやいなや、視診にてそれらを感じ取っています。この場合はこうゆう反応が出るに違いない、という推論を立て、検証していく作業を積み重ねていった結果の賜物だと思います。びっくりしすぎて声がでそうになりましたが、あたりは静かでした。共に参加した後輩の言葉を借りれば、「あたりまえにやりすぎて何が凄いのかもわからない」だそうです。50名以上の受講者で何名の方がシンクロしたでしょうか・・・
冨田先生独特の「ゆらす」アプローチですが、ここでも予備動作が極端に少なく、究極迄突き詰められています。最初に触るポイントですが、背臥位で視診しながら近寄っていく間に評価し特定の部位を見いだします。先生は「そこしかない、そこが触りたくなってしまう」とおっしゃっていました。毎回の推論、検証をいかに丁寧に行ってきたかがみえてきます。
アプローチするセラピストの身体づくりも必要で、介助ではなく“誘導”という概念が大切ということを改めて実感しました。ですから、相手に合わせるためにはともすれば自分にとってはきつい、厳しい姿勢や動作も問われることもあるとのことです。先生がアプローチ中にかく“汗”は、その内容プラス相手のことを真剣に考え、接しているからこそなのだと最近になってやっと感じ取れてきました。それはセラピストとしての義務ともおっしゃっていました。まさに共感できる内容でした。
ROMをするときに、セラピストが胡座になって骨盤後傾位になったり自分本位な“介助”になっていませんか?一つ一つ気を遣っていきたいものですね。
リハビリテーションとは、やはり自ら、能動的にというところがポイントとなってきます。最初は他動運動かもしれませんが、徐々に自動介助、自動運動に結びつけていかねば継続した効果を導いていくことは難しいです。理学療法の根本を再認識させられる非常に充実した講習会でした。理学療法は技術職です。患者さんの病態や生活スタイル、科学の進歩に併せて常に進化していかねばなりません。日々勉強ですね。
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